タイトルの通り、スピード分析をやってみました。
初めての試みでしたが、意外とすんなり分析でき、選手個々人の滑りの特徴を示すデータが得られたので、分析でやったことや結果について少しだけ紹介したいと思います。
ちなみに分析したいと思ったきっかけについては下の記事に書いています。
分析対象や撮影など
今回のスピード分析はビデオカメラを用いた簡易的な手法でおこないました。スケートリンクを上から見渡せるYSアリーナの観客席でカメラを取りました。
対象としたのは、冬合宿中の2023年12月30日に行ったタイムトライアルでの滑りです。選手たちは500m、1000m、1500mから2種目選び、ダブルトラック形式で滑りました。
タイムトライアル前に分析の前準備が必要です。
ストレートとカーブの境目、スタート・ゴールラインの場所をビデオカメラ越しに確かめます。
全てのラインの確認が終わったら、あとは同じ場所から選手たちの滑りを撮れば、分析に必要なものが揃います。
これらをもとに、映像データからスピードを計算します。
分析結果
分析から得られた結果は選手たちに共有し、木村コーチから見るべき点について説明がありました。
木村コーチは大学院生のときにスピード分析に関する研究をしていたので、データの見方や個々の結果の特徴に関する解説はさすがでした。
結果の一部を紹介します。
ある選手の500m(インコーススタート)の結果です。バックストレートで時速40.8 km/hという値でスピードのピークが来ています。
木村コーチいわく、500mレースのバックストレートでスピードのピークを迎え、そのスピードが怖くて第2カーブで減速するというのはよくあるパターンなのだとか。
こちらはある選手の1000m(アウトスタート)の結果。第3カーブで減速しているのが見て取れます。
木村コーチが言うには、1000mは第3カーブまで速いスピードを維持できるかどうかで勝負が決まると一般に言われているらしいです。
最後に1500m(インスタート)の結果も1つ紹介します。こちらの選手はレース後半でも一定のスピードを保ったままゴールしています。
木村コーチが言うには、この結果は、長距離選手が持つ典型的なレースパターンの特徴と一致しているのだそうです。
結果を受けて
選手たちにとって今回のスピード分析の結果は、自分の滑りをいつもと違った視点で見るいい機会になったのではないかと思います。
自分の滑りの強み・弱みの把握に役立ち、今後のトレーニングに活かしてもらえれば嬉しいです。
今後も定期的にスピード分析の機会を設けて、選手たちが経時的な結果を比較できるようにしたいと思っています。
それによって自分の滑りがよくなっているとか、弱点を克服できているとか、そういったことが客観的データで見て取れるようになるはずです。
方法・結果の妥当性について
最後に、今回の方法と結果の妥当性について断っておきます。
今回おこなったスピード分析の方法は、比較的安価なビデオカメラの映像をもとに簡便にできる手法であるというメリットがある一方で、その妥当性については検証できていません。
もっと手の込んだスピード分析の手法として、GPSつきの装置等を選手に取り付けてリアルタイムでスピードを測る方法などがあるようです。
そうした「その分野である程度確立された手法で得られたデータ」と「我々のやり方でのデータ」が強く相関しているかどうかを見ることで、我々のやり方の妥当性が測れるはずです。
本当は合宿のタイムトライアルのときに、木村コーチの知り合いでスピード分析を専門としている方を招いて妥当性の検証もやる予定だったのですが、先方の都合で今回は見送りとなりました。
近いうちにまた検証できる機会を設けたいと思っています。そして妥当性が高いことが示されたら、その手法と妥当性について、SIGNEIGHTからの研究結果としてスポーツ系の学術誌に投稿できればいいなと思っています。
乞うご期待ください!